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東ドイツ国営鉄道規則 1957年10月31日施行 全文

ドイツ民主共和国の人民経済の発展は国営鉄道に対して、年々高い要求を出している。すべての鉄道労働者が社会主義の労働倫理、労働規律の学習に成功した場合に2回目の5ヵ年計画で増加し続ける運輸業の安全で円滑、正確な実施が可能となる。ドイツ民主共和国の国営鉄道職員の義務と権利に関する1956年10月18日付の布告は意識的社会主義的規律のための我が国営鉄道職員の教育にとって重大事を意味する。この布告で規定されるような階級と新しい規則の導入は規律の改善に非常に有効である。

 

鉄道布告の条文によれば制服は円滑な運輸に直結する働きをしている国営鉄道職員によってのみ着られるものだ。したがって、運輸業の解決における国営鉄道職員の重大な責任がここに示された。国営鉄道の看板を背負う者として、清潔で適切、完璧な方法で制服を着用する義務がある。

 

ドイツ民主共和国の国営鉄道職員の権利と義務に関する1956年10月18日の布告(GB1, S, 1213)の§16に基づいて鉄道布告 ― 以下の鉄道規則 ― Ufo ― が公布されている。

 

 §1

一般

  • 制服規則の目的は制服全般、制服の付属品と形状、着用方法と着用時間、階級徽章、寄付の支払い、制服の購入と調達そして販売価格の決定、である。
  • 運輸大臣のみが制服規定を変更することが可能である。

 §2

制服構成

  • 国営鉄道職員用の制服は次のもので構成されている。
  • 事務官長までの階級

男性の場合:

                     詰襟ジャケット

                     スラックス

                     冬季用制帽

                     夏季用ジャケット

                     シャツ、濃紺

                     ネクタイ、無地の銀鼠色

                     制帽

 

女性の場合:

                     詰襟ジャケット

                     スカート

                     冬季用制帽

                     夏季用ジャケット

                     ブラウス、濃紺

                     ネクタイ、無地の銀鼠色

                     制帽(Schiffchenmütze: いわゆる略帽)

 

専門職向けの制服ズボン

 

  • 査閲官からの階級

男性の場合:

                     開襟ジャケット

                     夏季用ジャケット

                     スラックス

                     シャツ、濃紺

                     ネクタイ、無地の銀鼠色

                     制帽

 

女性の場合:

                     開襟ジャケット

                     夏季用ジャケット

                     スカート

                     ブラウス、濃紺

                     ネクタイ、無地の銀鼠色

                     制帽(Schiffchenmütze: いわゆる略帽)

 

  • すべての国営鉄道職員に対して

冬のコート

レインコート

 

  • コートの襟の開け閉めは自由である。
  • 女性用の制服ズボンの着用に際しての権利は次のように定める。
  1. 旅客および貨物の監督をする女性
  2. 乗降場にいる女性
  3. 運転士の女性
  4. 入れ替えを行う女性
  5. 貨物輸送の女性
  6. 整備士の女性
  7. 国境勤務の女性
  8. 監視作業(分岐点制御)の女性
  9. 清掃作業の女性
  10. 踏切番(手動踏切)の女性
  11. 営業保険の女性
  12. 鉄道部門の警備の女性
  13. 高地作業の女性
  • 切符販売、駅事務所のカウンタ、D車両の女性は国営鉄道章を縫い付けた白衣を受け取る。
  • 1節目の旧制服からの変更は既存の材料のうちに徐々に導入する。
  • 制服は規則にのっとり清潔かつ正しい構成で常に完璧な状態でなければならない。制服と民間服を組み合わせて着用してはならない。制服のどの部分にも許可のない変更を加えることはできない。

 

 §3

制服の形、裁断、装備、制服は濃紺の生地である

  1. ジャケット

男性と女性用

高襟、6つのボタン、襟の縁、肩章ループ、襟章、後ろにスリットなし、両側にボタンの付いたパッチポケット、胸の両側にポケット

  1. 男性用スラックス

サイドポケット2つ、時計用ポケット1つ、後ろポケット1つ、カバーはなし、パイピングあり

  1. スカート

前と背面の中央に幅12cmのプリーツが付いており、滑らか

  1. 女性用スラックス

サイドポケット2つ、時計用ポケット1つ、カバーなし、パイピングあり、左側スリットにボタン留め

  1. 男性用ジャケット

開襟、短い衿、3つのボタン、肩章留め、襟章、後ろにスリットなし、腰と胸に蓋・ボタン付きのポケットがそれぞれ2つ、胸の内側にポケットが1つ

  1. 女性用ジャケット

開襟、短い衿、3つのボタン、肩章留め、襟章、後ろにスリットなし、腰と胸に蓋・ボタン付きのポケットがそれぞれ2つ、胸の内側にポケットが1つ

夏季用ジャケットに裏地はなし

  1. 男性用と女性用のコート

ダブル、ストレート、立衿、2列6つのボタン、2つの後ろ留め、2つのボタン付きプリーツなし、肩章留め、ボタンなし蓋つきのサイドポケット、裏ポケット2つ、裏に時計用ポケット1つ

  1. 男性用と女性用のレインコート

ダブル、ストレート、襟の周囲に覆い、背縫い、開け閉め可、隣接したボタン2つ、肩章留め

  1. 男性制帽

光沢ある黒い鍔付き、3つのタック、紐用の2つボタン、パイピングなしのスキー帽

  1. 女性制帽

パイピング付き略帽、パイピングなしのスキー帽

 

§4

部門の識別

  • 各部門は制帽、肩章、襟章の縁の色によって識別する。
  1. 運輸・交通部門 赤
  2. 機関経営・車両整備部門 青
  3. 車両経営部門 灰
  4. 鉄道施設・建設工事部門 緑
  5. 保安通信部門 黄
  • 局長級はスラックス、肩章の縁が赤、襟のパイピングは管理官から金である。

 

§5

階級章

  • 肩章は以下の通り
  1. 鉄道員

肩章11.5×3 cm 幅6mmの4本の紐で構成されている。そのうち外側2本には青紐に金の糸が2:1の比率で織られており、内側2本の青い紐には金糸が織り交ぜられている。11mmの銀色の星章が付けられている。

  1. 助手

前項と同じである。11mmの星章が2つ付けられている。

  1. 下級見習

前項と同じである。11mmの星章が3つ付けられている。

  1. 見習い

肩章11.5×3 cm 幅6mmの4本の紐で構成されている。そのうち外側2本には金紐に青の糸が織り込まれている。内側2本の青い紐には金糸が織り交ぜられている。11mmの銀色の星章が付けられている。

  1. 事務官

前項と同じである。11mmの星章が2つ付けられている。

  1. 上級事務官

前項と同じである。11mmの星章が3つ付けられている。

  1. 査閲官

肩章 11.5×3 cm 幅6mmの5本の紐で構成されている。金色に青の糸を織り交ぜ、11mmの銀色の星章が付けられている。

  1. 上級査閲官

前項と同じである。11mmの星章が2つ付けられている。

  1. 主幹

前項と同じである。11mmの星章が3つ付けられている。

  1. 上級主幹

前項と同じである。11mmの星章が4つ付けられている。

  1. 参事官

肩章 10.5×4 cm 幅 6mmの青と金の二重組紐で構成されている。11mmの星章が1つ付けられている。

  1. 上級参事官

前項と同じである。11mmの星章が2つ付けられている。

  1. 管理官

肩章 10.5×4 cm 幅 6mmの金色の紐に青い糸が織り込まれた二重組紐で構成されている。11mmの星章が1つ付けられている。

  1. 上級管理官

前項と同じである。11mmの星章が2つ付けられている。

  1. 管理官長

前項と同じである。11mmの星章が3つ付けられている。

  1. 総裁代理

肩章10.5×4 cm 幅 6mmの金色の紐と細い赤色の糸が二重組紐で構成されている。

  1. 総裁

前項と同じである。22mmの金色星章が付けられている。

(注記: 11mm銀色星章とは形状が全く異なる)

  • 制帽の顎紐
    • 下級見習いまで 青い紐に金の糸を含む
    • 事務官から 青と金が2:2の割合
    • 査閲官から 金の紐に青の糸を含む
    • 管理官から 金の紐

 

§6

制服着用を必要とする場面

  • 制服は以下の活動の代表制服として恒久に、あるいは定期的に国鉄職員が着用するものとする。
  1. 防護衣が提供されない限り、職務中に制服を着用する必要がある国鉄職員
  2. 職務中に制服を着る事を許可された国鉄職員
  3. 次の活動を行う国鉄職員は職務中に制服を着用する必要がある

○職務部門

 派遣業務Ga/Gepa

 車受け入れ検査官

 機関車受け入れ検査官

 Sバーンを含む

 監督業務

 受付業務

 ・

 ・

 ・

 (以下略)

 

§7

国営鉄道の文化団体の制服

  • §6で言及された団体に属さない国営鉄道職員の文化団体員は管轄地区の倉庫において、現金で制服(ジャケット、スラックス、シャツ、スカート、ブラウス、ネクタイ、制帽、コート)を購入する権利がある。

この制服は公共のイベントや楽団ツアーでのみ着用が許可されている。制服には鉄道員の階級(§5 (1) 1. を参照)が付けられるが、星章の代わりに琴が付けられている。

  • 星章の代わりに特別な徽章を付けた(コートの腕部分)専門職の国営鉄道職員も前項と同様である。

 

§8

制服の個別な部位の製造

制服の個別な部位および機材(帽子、巾着、肩章など)の生産は本線の国営鉄道衣料販売店において規定された特別な製造規則に従って行われる。

 

§9

国営鉄道衣料店会員

  • 制服着用が義務付けられている国営鉄道職員は国営鉄道衣料店の義務付けれた会員である。§12で指定された拠出金の支払い義務は国営鉄道との雇用契約の一部である。なお、国営鉄道衣料店に支払われた拠出金は返金されない。
  • 制服着用の資格を持つ国営鉄道職員は国営鉄道衣料店の会員になるか、国営鉄道衣料店からの販売価格の支払い渡しで制服を購入する。

 

 

§10

販売価格

販売価格は原価に基づいて設定され、「運輸省令および布告」に掲載されている。

 

§11

制服の調達

国営鉄道衣料店は会員の数と着用期間に基づいて制服を調達するための材料と財務の要件を計画する。会費で賄えない財政上の要求は国営鉄道が制服の補助金として負担し、国営鉄道衣料店と協議したのちに毎年行われる財政計画によって最終決定される。

 

§12

会員の拠出金

  • 制服を着用している国営鉄道職員およびボランティアに対し、国営鉄道衣料店への拠出金は次の様に月の総収入に応じて分けられている。
  1. ~300DM 月2DM
  2. 300,01DM~400DM 月3DM
  3. 400,01DM~600DM 月4DM
  4. 600,01DM~1000DM 月4DM
  5. 1000DM~ 月6DM

(DM:ドイツマルク, 約65 JPY/DM)

  • 拠出金は国営鉄道衣料店に登録が行われた月から支払われる。拠出は登録解除が行われた月で終了する。D車両の女性職員は拠出しない。

 

§13

制服に関連して

  • §6で言及された団体(§6を参照)に属するすべての国営鉄道職員は国営鉄道衣料店から制服を購入する義務がある。支給は職員の業務「延長および受領証明書」(D車両の女性衣料を含む)で仲介し行われる。
  • 国営鉄道業務または§6で言及された団体から外れる国営鉄道職員は注文されたとしても受け取る資格がない。職務部門は登録解除必須である。
  • まだ国営鉄道衣料店から発送されてまだ着用されていない制服は適切な地区の衣料倉庫で保障なし、あるいは部分的な価格の支払い渡しで購入できる。

その部分的な価格は次の式で算出される。

価格 (制服規則による放置期間) - (経過月)/(制服規則による放置期間)

担当地区の衣料品店に返却する場合は受け取った最後の制服を送らなければならない。

階級徽章(肩章、襟章、制帽の顎紐)はすべて返却しなければならない。

  • 制服着用者が国営鉄道業務を一定期間、ただし6か月以上(学校への輸送、運輸警察または人民軍の業務など)経過してから離れる場合、前段落に従う。
  • もし6か月以上たって脱退する場合は国営鉄道衣料店の会員と制服着用の許可は停止される。特別休暇の月数は妊娠期間をカウントしない。
  • 国営鉄道の業務または制服の環から外れる場合は、職員は直ちに階級章と制服の着用資格を失う。

 

 §14

移行措置

(省略)

 

§15

最終条項

この制服規定は1957年10月31日に施行される。

同日、1951年6月1日からの職業衣料規定(BKO)は廃止される。

 

大臣

(Arb II-4/2987 v. 31. 10. 57/31 240)

署名 Kramer