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アルバニア社会主義人民共和国 労働勲章について

アルバニア社会主義人民共和国 労働勲章について

東独用の記事ですが、同じ社会主義国であり、東独の企業が一時期勲章の製造も受け付けていたのもあって取り上げることにしました。

 

日本では取り上げられることの少ないアルバニア労働勲章についてまとめてみました。

 

アルバニア 労働勲章

 

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(左から一級、二級、三級)

 

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(三級裏側、スクリューバック表・裏)

 

労働勲章は1945年10月13日に経済発展に寄与した証として制定された。
個人、工場、そのほか団体に授与されていた。
民共和国時代の勲章としての等級は低い。上から25位。

 

労働勲章第一級社会主義建設に向けて非常に優れた働きをした人民、団体、公的機関、社会的組織に授与する。
すなわち、労働の生産を向上させるための技術の採用とその改善、科学、工学、芸術、教育、文化、各部門においてこれからの発展のために組織内指導において特別な功績を打ち立てた者に対して与える。

 

労働勲章第二級社会主義建設に向けて目覚ましい働きをした人民、団体、公的機関、社会的組織に授与する。
生産性のある優れた労働、発明と素晴らしい経済的重要性のある技術、使用する設備で最大限の節約を達成したこと、そして工学と科学の進歩、芸術、教育、文化、各部門において成功裏に収めた者に対して与える。

 

労働勲章第三級社会主義建設に向けて積極的な働きをした人民、団体、公的機関、社会的組織に授与する。
発明と工学において著しい成果を出した者、あらゆる労働部門における技術向上のために尽くした者、芸術、教育、文化で優れた成果を出した者、1年間労働活動を中断せず続けた者、設備の整備と労働力を確保したもの、あらゆる労働部門において優秀な組織と指導力を発揮した者に対して与える。

 

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労働勲章の正位置がどこかであるのかはあらゆる説があり、多くの書籍において旗の先端(一番尖っている部分)が上であると結論付けており、後に発行されたアルバニア製ピンバック方式の労働勲章がそれを証明しているし、1965年制定の「赤旗労働勲章」でも旗の先端が上になっている。

 

しかし、アルバニアの勲記ではその先端が10時の方向を示しているため、おそらくそれが正しい位置であるのだろうが実際に着用されている写真を見たことがいため定かではない。

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●勲章の造形等について

造形は一級から三級まで同じである。色はそれぞれ金(全体)、金(土台は銀)、銀(全体)となっている。

45mm大の円形に彫の装飾を施し、月桂樹の枝と国旗、その中央に工業の証である歯車を作り、その中に槌、鎌、鶴嘴、円匙がある。


留め具の方式は大体以下の通りである。
(年代が古い順に並べてある)

 

タイプ1:
 スクリューバック方式(1946-1976)
 生産工場・国
  Version1. IKOM(ユーゴスラビア製, 1945-1948)
  Version2. MENNICA PAŃSTWOWA(ポーランド製, 1952-1955)
  Version3. PRÄWEMA東ドイツ製, 1950-1976)

 

タイプ2:
 ピンバック方式(1965-1992)
 生産工場・国
  Version1. PRÄWEMA東ドイツ製)
  Version2. 水平ピン(アルバニア製)
  Version3. 垂直ピン(アルバニア製)

 

●労働記章

労働勲章の記章は楕円形であり、真鍮を金メッキしたものである。メダルの直径は横35mm、縦40mmで労働者の絵が描かれており槌を肩に掛け、頭上に星がある。背後には山が聳え立ち、労働を象徴する農業トラクターが前面に描かれている。

 

●記章の造形等について

タイプ1:
 リボン留めとメダルを繋ぐための輪っかが大きい

 メダル部分の輪っかがメダルとは別
  Version.1 裏面が平ら
  Version.2 裏面に小さな突起がある(凸凹)

 

タイプ2:
 リボン留めとメダルを繋ぐための輪っかが小さい

 メダル部分の輪っかがメダルと一体
  Version.1 水平ピン
  Verison.2 垂直ピン

 

●略綬

基本色は緑一色である。
第一級から第三級はそれぞれに対し、等級に応じた数の赤線を入れる。

 

●筆者の所持する労働勲章などについて

・手にした感想
第一級から第三級までのスクリューバック方式で PRÄWEMA(ドイツ製)の勲章である。


以前からアルバニアの勲章の造形に対するやる気のなさは知っていたが、これは数ある勲章に比べて数段格好良いのではないかと思っている唯一の勲章である。


民共和国時代の国家章でもあの造形はちょっと、いやかなりいただけない。はっきり言ってダサい。
王政の時は良かったのにどうしてこうなったのか疑問である。

 

 

アルバニアの勲章は高い
アルバニアは小国で閉鎖的だったということもあり勲章類が出回る数が少ない。そのため、造形がひどいにもかかわらず値段が高く設定されているものが多い。さらに日本での知名度が低く入ってくる数も少ないため入手は困難であるといえる。

 

安い価格でセットになったものがあれば即購入することをお勧めする。また、多少高かったとしても今後を考えると蒐集者としては買うことをお勧めしたい。(ダサさから購買意欲は大幅に削がれますが)